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2025年3月19日(水)すみれ会

「ハラスメント」


 はじめに

 セクシャル・ハラスメント(略称:セクハラ)、パワー・ハラスメント(パワハラ)などのハラスメントはわたしたちの身近にある問題と言えるでしょう。それらだけではなく近年ではモラル・ハラスメント(モラハラ)やアカデミック・ハラスメント(アカハラ)という言い方もされてきています。わたしたちの身近にあるこれらのハラスメントについて素人の範囲ですが共に学んで行ければ幸いです。ハラスメントの加害者、被害者にならないために。


ハラスメントとは何か

 そもそも「ハラスメント」という言葉はどういう行為を意味するのでしょうか。日常用語としては「自分より弱い立場にある者に対して、心理的・肉体的攻撃を繰り返し、相手に深刻な苦しみを与える行動」(「講談社カラー版 日本語大辞典」)とされています。以前より、「いじめ」、「村八分」、「いやがらせ」と表現されてきた現象のことです。これはわたしたちの「身近」な行為から、法的に見て違法不当とされるものまで、幅広くあります。

 そしてハラスメントであるか否かの判断は、行為者によってではなく、当事者(受け手)によってされることが大半です。例えば、行為者にとって単なる冗談や、相手方の了解を得ていると思い込んでいたとしても、当事者がそれを「不快」「苦痛」と感じている場合にはハラスメントとされる可能性が高いのです。


誰もが加害者、被害者に

 ハラスメントが起こりやすい環境は、「力」関係、優越的な関係のあるところとされています。地位、立場を利用しての行為です。年上から年下、夫から妻、親から子、上司から部下、教師から生徒、教授から学生、宗教者(牧師、神父、僧侶など)から信徒、という関係において起こりやすいとされています。もちろん年下から年上、妻から夫、子から親、部下から上司、生徒から教師、学生から教授、信徒から宗教者も起こり得ます。つまりどのような人間関係でも(優越的立場に関わらず)ハラスメントは起こる可能性がある、ということで、このことを念頭に置きつつ生活することが求められています。


人間を手段ではなく、目的として扱う

 哲学者のカントは人間関係について「人間を手段ではなく、目的として扱う」と述べました。「人間は人格として、自分のことも他人のことも手段としてのみ扱ってはならず、

常に同時に、目的として扱わなくてはいけない」ということです。この人間関係が実現するところではハラスメントが無くなるだけではなく、戦争のない永遠平和が実現するともカントは考えています。


様々なハラスメント

 ハラスメントは多種に及びます。例えば、性的なものとしてセクシャル・ハラスメント、職場などでの「力」関係のあるところではパワー・ハラスメント、大学や教育現場ではアカデミック・ハラスメント、妊娠や出産に対して行われるマタニティ・ハラスメント、夫婦間で主に生じるモラル・ハラスメント(DVなどを含む)があります。今回は以下の3つを取り上げます。


 セクシャル・ハラスメント

  性的な内容の発言と性的な行動。性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報や

  噂を意図的に流すこと、性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、性的

  関係を強要すること、必要なく身体へ接触すること、わいせつな画像を配布したり掲

  示することなど。


 パワー・ハラスメント

  身体的、もしくは精神的な攻撃。殴打する。物を投げつける。人格を否定するような

  言動(「死んでしまえ!」、「生きている価値あるのか!」)。他人がいる前での大

  声での威圧的な叱責。相手の能力を否定するような内容のメール・手紙をその相手を

  含む複数の人に同時に送信する。自分の意に沿わない人を仕事から外す。自宅研修さ

  せる。集団で無視をし孤立させる。本来の仕事とは関係のない雑用などを強制的に行

  わせる。レベルに到底合わない仕事(難しすぎる仕事、やさしすぎる仕事)をさせる。

  仕事を与えない。性的少数者(セクシャルマイノリティ)の情報などの個人情報を本人

  の了解を得ずに他者に伝える。


 マタニティ・ハラスメント

  妊娠・出産のための育児休業や介護休業を申請した人の仕事環境が害され、解雇され

  る。雇い止めされる。自主退職の強要。配転。などの不利益、不当な扱いを受け、精

  神的、身体的な嫌がらせを受けること。時間外労働や深夜まで残業をさせる。「

  休むなんて迷惑だ」「辞めたら?」「妊娠するなら忙しい時期を避けるべきだった」

  と言う。


 統計的には会社ではパワー・ハラスメント、セクシャル・ハラスメント、マタニティ・ハラスメントの順に報告、相談があります。

 

さいごに

 ハラスメントは、多様であり、奥深いということに学ぶ過程で気付かされてゆきます。少しでも学んでゆくことで、実際に明日から、加害、被害を防ぐことができるのではないか、と感じています。より良い教会とするために、また、より良い家庭環境や所属する団体がより良いものとするために、共にこのひと時を過ごしてゆきましょう。



参考文献

・中川瑛「ハラスメントがおきない職場のつくり方」大和書房、2023年

・鈴木瑞穂「現場で役立つ!ハラスメントを許さない現場力と組織力」日本経済新聞出版社、2019年

・石井孝治「知らないと損する労働法の超基本」日本実業出版社、2022年。

・水谷英夫「第4版予防・解決職場のパワハラセクハラメンタルヘルス」日本加除出版株式会社、2020年。

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